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挿管中の患者に吸入薬を効率的に噴霧する方法

吸入アイキャッチ お勉強

人工呼吸器管理をされている患者さんを診たことがある看護師さんは、挿管前まで吸入薬を使っていた患者さんにどのように投与・噴霧しますか?

そもそも指示として中止になりますか?

中止した理由が、病態によって導き出された結果の指示であれば問題ありません。しかし、投与できないだろうからなんて理由であればそれは間違いです。

人工呼吸器管理中に非同調が続きなかなか原因が分からない人っていませんか?

そんな人がもしかしたら吸入薬で変わるかもしれません。

今回は、

こんな人には吸入薬を考慮してもいいかも

挿管管理中でも効率的にエアロゾルを運搬する方法

この2つを伝えできればと思います。

 

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こんな人工呼吸機の非同調は吸入薬で改善する可能性がある

 

.png

 

人工呼吸器の非同調でFig.1みたいなグラフィックみたことありませんか?

これはSIMVモードでの非同調の一例です。

評価目的でCPAPに変更したグラフィックがFig.2になります。

見てわかると思いますが非常に呼気が長いです。

I:E比が1:5.9と伸び伸びです。

呼気時間が長いという言うことは閉塞性換気障害が可能性の一つに挙がります。

そこでこんなチェック項目を設けてみました。

  1. 気管支拡張薬の使用歴がある、または使用している
  2. 強制換気を有するモードで非同調がある
  3. 評価目的にCPAPへ変更したらI:E比が1:3以上ある
  4. 血液ガス検査上、PaCO2の貯留を認める
  5. 既往にCOPDがある、またはその可能性を否定できない
  6. 努力性呼気を認める

このチェック項目に当てはまった患者8名を対象として吸入薬の導入をおこなってみました。

 

対象

先程のチェック項目に当てはまった患者8名

.png

ポイントは前例でCOPD・気管支喘息などの既往が明らかでないということです。

 

結果

吸入薬導入前・導入後24時間後の評価結果一覧となります

ちょっと見にくくて申し訳ないのでまとめます

人工呼吸器の同調に関して

  • 全例で非同調が消失した
  • I:E比が呼気延長症例全てで改善を認めた
  • 全例で努力性呼吸が軽減または消失した

 

血液ガスデータに関して

  • P/F比 : 264.7→297.8(p=0.0051)
  • PaCO2 : 51.9→42.3(p=0.034)

 

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要するに、酸素化が改善されて、二酸化炭素も飛んだから換気としても改善されていますよってことです。

一般的な話ですが、閉塞性換気障害が原因の人工呼吸器非同調は、気道抵抗の増加・呼気の努力・呼気時間の延長によって、過度な努力呼吸となることで生じます。

そこで投与される気管支拡張薬は気道抵抗を改善させ、同調整の改善をもたらすと言われています。

今回、閉塞性換気障害の既往がなくてもチェック項目を満たしたような臨床症状で閉塞性換気障害が潜在的に存在する可能性を疑いました。

それに対して、気管支拡張薬を導入しました。

すると結果的に全例で非同調が改善され、酸素化・換気の改善が得られました。

このことから、閉塞性換気障害の既往がなくても、チェック項目にもあった呼気延長・非同調などを認めた場合は気管支拡張薬を導入するのは一つの選択肢になり得るかなと思います。

 

使用薬剤は3剤

後ほど述べますが、使用デバイスの関係上pMDI製剤でなくてはいけません。

サルブタモール・イプラトロピウム・シクレソニド

この3剤を使用しました(商品名はググってね)

 

用法容量

1日4回 1回3吸入 サルブタモール・イプラトロピウム

1日2回 1回3吸入 シクレソニド

こんな感じで指示を出してもらいました。

正直色々な論文を見るともっと多い噴霧回数でしたが、対象患者を見ると分かると思いますが、循環動態が不安定な患者が多かったため、これくらいの噴霧回数に設定しています。

 

吸入薬の投与方法

今から投与方法について説明します

 

使用デバイス

今回は DAR ブリージングシステム MDIアダプタ ってのを使いました。

この白いキャップみたいな矢印のやつを外してMDIを差し込み、その方向にエアゾルが噴霧されるようになっています。

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蛇腹タイプのアダプタもありますが、以下の欠点があったため使用しませんでした。

  • 折りたたみ可能だが、蛇腹部分に水滴が貯留し誤嚥リスクがあった
  • 毎回の回路への装脱着は閉鎖回路を開いてしまう・PEEPが解除される

 

回路図

当院使用の回路はY字部分の取り外しが難しく、Y字と閉鎖式サクションカテーテルの間に上の図のアダプタを留置しました。

.png

.jpg

 

投与方法

.png

こんな感じで噴霧します。タイミング大事ですよ。

 

複数の論文で吸入アダプタの取り付け位置は呼吸回路の吸気側が推奨されています。

吸気終了時に噴霧することで回路自体がスペーサーの役割を持つとされています。

噴霧回数は通常用法よりも多く噴霧することが一般的です。

それは、以下の理由があります。

  1. 回路があり肺内までの距離があること
  2. 回路内に水分がありエアゾルがくっついてしまう

この点を考慮し、さらに循環動態を考慮し噴霧回数を設定する必要があります。

 

まとめ

呼気努力や呼気延長を認め閉塞性換気障害が疑われる症例に対しては、吸入薬を導入する事により人工呼吸器との同調性が改善する可能性があります。

投与方法は蛇腹よりも今回使用したアダプタのほうが、閉鎖回路の特性を活かせると思います。

吸入薬の噴霧回数は通常用量よりも多くする必要があります。

 

Duarte AG et al. Respir Care. 2000

AARC Clinical Practice Guideline. RESPIRATORYCARE.1999

Dhand R et al. Expert Opin Drug Deliv. 2007

その他多数の文献

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