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心臓血管術後にネーザルハイフロー(NHF)が使用される理由

お勉強
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こんな質問を頂きました!

 

 

こんにちわ。いつもブログ参考にさせて頂いております。心臓外科のオペ後にネーザルハイフローを使用される事が多いのですが、何か理由があるのでしょうか?
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今回はこの質問について回答したいと思います。

ネーザルハイフロー(NHF)について詳細を知りたい方は下の記事を参考にしてみて下さい。

 

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NHFとNPPVの違い

まずはこれをしっかり抑えておかないと理解が難しいので説明します。

 

基本的に患者は心臓血管術後、挿管状態でICUに帰室します。

ICU帰室後様々な治療を経て抜管に至ります。

抜管後は様々な酸素投与方法やNPPVなどに枝分かれしていきます。

 

抜管後の酸素投与方法の遷延

これは非常にシンプルにまとめたものですが、抜管後NPPV・NHF・インスピロン・マスク/NCと大まかに分けられます。

ここでこの4つの方式にどのような違いがあるでしょうか。

方式の差別化

低流量・高流量の違いは上の記事をご覧ください

 

さて、この図のようにNPPVとNHFでは人工呼吸器か否かの大きな違いがあります。

また、得られる効果としてPEEPとPS(換気補助)があります。

これがNPPVを使用する最大のメリットとなります。

 

抜管後NPPVのメリット・デメリット

心臓血管術後は急性呼吸不全が生じて、早期離床の妨げとなり死亡率を増加させる可能性があるといった報告もされてきました。そこで抜管後NPPV装着は再挿管率や死亡率などのアウトカムを改善すると報告されてきました。

しかしデメリットもあります。

NPPVは装着困難になる患者が多いんです。

心臓血管術後、抜管後に何らかの補助が必要である患者に対しNPPVを装着したい。

しかし忍容性が悪く装着が困難であり外してしまうことが多々あります。

メリット
再挿管率・死亡率などのアウトカムを改善させる

デメリット
忍容性が悪く装着困難な場合がある
MDRPUが生じやすい

 

NHFのメリット・デメリット

そこで、今までであれば次の選択肢はインスピロンしかありませんでした。

インスピロンでは高流量での酸素投与は可能ですが、FIO₂は最大60%程度でありPEEP・PSはかけれませんでした。

 

そこにNHFが登場し、このNPPVとインスピロンの中間に位置どった訳です。

 

NHFの特徴は
FIO₂を100%まで設定可能
軽度のPEEPをかけれる
解剖学的死腔の洗い出しでCO₂を飛ばしてくれる
十分な加湿効果
眼鏡をはめれる・ご飯を食べれる

こんな感じです。

 

マスクのように閉鎖されるわけでもなく圧迫感も少ないため忍容性が高いです。

FIO₂を100%まで設定できるため低酸素状態をカバーしてくれます。また、十分な加湿効果により気道クリアランスも改善されます。NPPVでは陽圧で痰を押し込んだりする可能性があるため、この点に関してもメリットと言えます。PEEPはややかかりますが、開口しちゃうとあまり期待はできません。個人的な印象はあるようでないものって印象です。

更に、一番大きいのがマスク換気で忍容性が悪いとせん妄が加速しがちですが、NHFの場合は眼鏡をはめて周囲や時間を認識しやすくなるなどしてせん妄予防が可能です。

また、食事の際に着け外しをする必要性もありません。

NHFのデメリットは、PEEPは軽度であり開口などで変動がある。PSは不可能といった点です。

 

心臓血管術後のそもそもの前提

心臓血管術後に抜管をしたということは、ある程度状態の改善があったと言うことです。

抜管ができる程の陽圧換気レベルで大丈夫ということです。

よほどボリュームコントロールに難渋していない限りは心不全によるうっ血肺予防での高いPEEPは不要となります。

しかし酸素化に不安を残す場合にNHFが選択肢となり得ます。

 

NHF vs NPPV

 

JAMA

こちらの論文は2015年にJAMAに掲載されたものです。

「心臓血管ope後に低酸素になった患者に対してNHFとNPPVのどっちが成績がよかったか」と言う内容です。

フランス国内6か所のICUでの多施設間研究です。対象や除外基準に関しては割愛します。

対象者

対象者はこんな感じで割り付けられています。

 

NHF設定は50L/min・FIO₂ 0.5、NPPV設定はPS 8㎝H₂O・PEEP 4㎝H₂O・FIO₂ 0.5

日本では30~40L/minで導入している施設が多いのでそこは注意です。

 

結果は、

結果テーブル特に目立った差はありません。

治療失敗の割合は・・・

ガタガタ

NHFとNPPVに差はありません。

差が無いということは今まで有用と言われていたNPPVと同等の効果を得られた可能性があるということです。ICU内死亡率・滞在日数でも有意差はありませんでした。

しかし、そのほかの結果詳細では、治療開始1時間後・6~12時間後、NPPVでFIO₂が優位に低くP/F比が優位に高かったとあります。これはPEEPによる酸素化能改善効果がNPPVが優位であった事を示しています。

対して、NHFは開始1時間後の呼吸数が優位に低かったとの結果が得られています。

 

このようにNHFがNPPVと同様の効果があり、なおかつせん妄予防の効果も見込めたり、食事を勧めやすかったりとメリットが大きいことがわかります。

 

まとめ

このような論文の結果を受けてますますNHFが抜管後そのまま使用される事例が増えてきました。

NHFが大好きな先生もいますし、NHFが大好きな集中治療領域のコメディカルもいます。

僕も大好きです( ´艸`)

そんなスタッフが多いと自然と使用機会が多くなるかもしれません。

また、これは余談ですが、このような論文がでた状況は業者からすると大チャンスで、心臓血管外科抜管後症例すべてにICU内だけでもNHFを使用するのはどうか?という声掛けがあります。実際にありました。

こういった話が進んでいた病院であればいきなりNHF導入事例が増えてきたと感じられることと思います。

なんにせよ、NHFは今までになかった機能を備えています。

人工呼吸器と元来の酸素投与方式の中間に位置付けたという意味合いでは非常に大きな功績と思います。

しかし、NHFに頼るあまり再挿管が遅れることはあってはなりません。

その点には注意が必要です。

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