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【NHF】ネーザルハイフロー完全攻略ガイド

アイキャッチ お勉強

皆さんはネーザルハイフローってご存知ですか?

NHF・Nasal Hight Flow・Hight Flow Nasal cannulaなどいろいろな呼称があります。

ここでは機械そのものの話から適応や看護のポイントまで幅広く解説していこうと思います。

NHFの知識もほしいけど、まずは呼吸の基礎を知りたい!って方は以下のリンク先を参考にしてみて下さい。
もう一度呼吸を基礎から勉強するなら必読!

 

※目次をクリックorタップすると該当項目へジャンプ可能ですよ

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NHFは画期的な酸素投与システム

NHFは画期的な高流量システムです。

高流量システムは30L/分の流量があれば成り立ちますが、ベンチュリーマスクやインスピロンなどでは100%の酸素濃度を保ちながらは不可能でした。

しかし、NHFでは30~60L/分もの流量で100%濃度の酸素を供給することができます。しかも鼻カヌラで!!!

 

ハイフローセラピーの特徴は3つ

ここでは特徴3つとそのポイントや注意点をご紹介します。

①鼻カヌラ

先ほども書いてますが鼻カヌラでの高流量システムは現状これしかありません。

鼻カヌラによって得られるメリットがあります。

眼鏡をかけれる ⇒ せん妄予防効果
食事が可能 ⇒ 低栄養の改善・注入食の回避

しかし通常の鼻カヌラはこんな流量には耐えれません。

鼻カヌラ参考図

この図のように特殊な鼻カヌラを使用します。

 

②高流量

低流量システムでは換気パターンによって酸素濃度が変化します。

酸素投与方式~低流量と高流量について~
酸素投与方式には低流量と高流量の2種類あります。濃度の変化、大気中の空気の役割、ベンチュリー効果。様々な要因を説明できるようになりましょう。

今までの高流量システムでの供給できる酸素濃度は50~60%が限界でした。

しかし、酸素ブレンダーや酸素療法モード付の人工呼吸器を使用することで、最大60L/分も送気でき酸素濃度を21~100%まで設定することが可能となりました。ブレンダー

このブレンダーでは中央の青い盤で酸素濃度設定が行え、左の黒いダイアルで流量を設定できます。

高流量で100%まで酸素濃度を設定可能

 

③加温加湿

30~60L/分の空気が鼻に送られてきたらどうでしょうか。

確実に鼻がもげます( ´艸`)笑

そうならない為の策が加温加湿です。これがNHFの肝といっても過言ではありません。

そもそも冷たく乾燥した空気が鼻腔に入るとどうなるでしょうか。生体の反応としては気管支収縮反応で気道抵抗が生じたり、鼻腔・気管粘膜損傷を引き起こす可能性があります。

通常の鼻カヌラでも5L以上はマスクに切り替えますよね。それはこのような現象が起きない為です。

加温加湿を十分に行うことによりこれらの現象を回避できます。

加温気

このような人工呼吸器で使用されている、高性能な加温加湿器を使用し、最適な加温加湿(37℃ / 絶対湿度44㎎/L)を保ち上気道に存在する粘膜のクリアランスを増強させる効果があります。

加温加湿で気道トラブルを防ぎクリアランスを改善

 

ハイフローセラピーの効果

代表的な2つの効果を解説します。

解剖学的死腔の洗い流し

洗い出し

通常、鼻咽頭腔の解剖学的死腔は酸素化に寄与せず、その分換気を行う必要があるが、高流量で洗い流されるため換気補助となります。

また、その死腔に溜まりがちだった二酸化炭素を排出する割合の増加であったり、高流量が故に吸気抵抗が少ないため呼吸仕事量を減少させます。

換気補助・呼吸仕事量の軽減・CO2排出補助

 

呼気終末陽圧(PEEP)

PEEP

高流量で鼻咽頭腔をガスが通過し供給し続けることで、呼気最終域に気道陽圧が加わります。

PEEPの図

しかし、この平均気道内圧は1~3㎝H₂O増加します。

これは口の開け閉めによる変化や性差もあります。

PEEP効果による無気肺の予防などの効果が得られる可能性があります。

PEEP効果

NHFの適応

  1. 高い陽圧を必要としない酸素投与全般
  2. 高PEEPを必要としないⅠ型呼吸不全
  3. 軽症のⅡ型呼吸不全
  4. NPPV導入前段階
  5. 抜管直後・NPPV離脱気

 

主な対象疾患

NHFがNPPVと同等か優れているもの(RCTが出ているもの)

肺炎                                         NEngl J Med. 2015;372:2185-9

免疫不全患者の呼吸不全   LancetRespir Med.2016;4:646-52.(2解析)

術後呼吸不全                  JAMA 2015;313:2331-9

抜管後の再挿管予防              JAMA 2016 [Epub ahead of print]

 

NPPVとの違い

NPPVではPEEPの設定が可能であり、口の開閉や性別に左右される事なくPEEPをかけることが可能です。また、PS(プレッシャーサポート)などの換気アシストも可能であり、無呼吸の場合でも強制換気が可能となります。

 

NPPVにできて、NHFにできない事

  1. PEEPの厳密な管理
  2. 換気サポート
  3. 強制換気
  4. アラーム設定

要はこれが必要ならNHFは適応になりません。

NPPVに移行したくないからNHFで粘るというのはあってはなりません。(患者や家族とそういった同意に達している場合は別です)
NPPVにいつでも移行できる環境で、効果判定を繰り返して挿管・NPPVへの移行時期を逸さない。

導入の注意点

事前の説明・体験!これに尽きます。

鼻カヌラの選択

冒頭に画像を提示したように、鼻カヌラは特殊なものを使用します。また、成人・小児でそれぞれ専用のものがあります。

成人の場合

S / M / L の3サイズあります

サイズの選定では、鼻腔の半分くらいのサイズが最良です。

マーゲンチューブなど、鼻腔に何らかの挿入物がある場合は挿入物とカニュラで鼻腔を完全に塞がないように注意します。

 

小児の場合

小児の場合は体重によって送気可能な流量が変化します。

その流量に適した鼻カヌラが数種類ありそれを使用します。

詳しくは後述の小児の項を参照下さい。

 

気切患者の場合

専用コネクタがありますのでそちらをご使用下さい

 

鼻カヌラの装着

NPPVもNHFも装着時が鍵です。ここで嫌がられたり負のイメージを持たれると、持続した装着が不可能となります。NHFで装着が困難になると、NPPVなどより上位のデバイスに変更していかなくてはなりません。極力不快感を与えないように導入する必要があります。

事前の説明

基本的にNHFを導入する患者は起きています。意識があります。

ない人は適応ではありません。

ここでしっかり説明をしましょう。以下は私のやり方です。

 

「これは呼吸を助けてくれる機械ですよ」

「ちょっと熱いと感じるかもしれませんが、そのおかげで痰が出やすくなって呼吸が楽になりますよ」

「これを付けていてもお話はできますよ」

「これを付けていてもご飯は食べられますよ」

など、いろいろと安心材料を説明します。

 

その後、鼻カヌラから出てくる空気を手の甲・頬・額に当ててみます。

実際にどれくらいの風がくるのか体感してもらいます。体感する部位は遠位から装着部位である鼻に徐々に近づけていくイメージです。

 

このような説明を行うか否かでその後の使用感はかなり変わってくる印象を持っています。

 

装着時

さて、装着です。

装着だからといっていきなりしっかり固定なんてやめましょう。

患者さんからしたら恐怖以外の何物でもありません。

鼻腔に当てて「今からを固定しますが大丈夫ですか?」そう聞くだけでいいです。

了解を得たら固定しましょう。了解を得られなかったら再度説明、最悪の場合流量を少し落としましょう(許容できる範囲で)。

抜管の直後にNHFに移行する際は、抜管後に装着せずに抜管前に装着します。そのことで、酸素供給が断たれることがなくなります。

 

NHF本体の準備

使用前に必ず医師に蒸留水など指定されたものを処方してもらうよう依頼してください。

加温加湿器へ蒸留水を入れる

加温加湿がNHFの生命線です。

電源を入れ、蒸留水を注入してください。

蒸留水は意外と早くなくなります。

加温加湿器の窯の中が空にならないように注意しましょう。

 

温度の上昇を確認する

温度が30℃以下で装着したら鼻がもげます( ´艸`)

実体験では33℃では耐えれたので、33℃以上で装着に入るようにしています。

急がない場合は37℃くらいまで待ちます。

 

NHFの設定

FIO₂の設定はPaO₂やSpO₂値を診て判断する。

流量は成人であれば、患者の耐えうるもので30L以上の設定とする。

小児であれば体重に合わせて変更していく。

PEEP効果を多少なりとも狙う場合は、流量30Lからの導入よりも50Lくらいから導入します。徐々に流量を上げられると患者の使用感は悪くなります。「勢いがしんどい…」など言われたときに徐々に下げていくほうが都合が最終的な使用感はよくなりやすい印象です。

看護のポイント・観察項目

ここからは実際にどのような点に注意して日々のケアを行うかを解説します。

 

フィジカルアセスメント

小児など、胸郭の柔らかい人は導入後の反応が顕著にあります。

導入後、15分~30分程度で明らかに陥凹呼吸の現象や消失などを観察できる可能性があります。

また、成人であっても徐々に努力性呼吸の減少であったり、HRが落ち着く・呼吸数が減少するなどの効果を認める場合もあります。

導入時・導入中この変化をしっかりと捉えて、呼吸状態の悪化を認めた際にはNPPVに直ちに移行できる準備をしておきましょう。

大事なのは呼吸数と精神状態です。

フィジカルアセスメントを取って行くには呼吸の基礎知識が欠かせません。
呼吸アセスメントを基礎の基礎から徹底解説した記事はこちら

 

皮膚トラブル

褥瘡好発部位

この図の赤丸のところ。この2か所が褥瘡(MDRPU)の好発部位となります。

あまりきつく締めすぎない、あらかじめ皮膚保護剤を貼っておくなど対策を取りましょう。

 

温度設定

F&P850システムを使用されている場合は、温度表示のところにマスクモードと挿管モードの切り替えボタンが存在します。通常挿管モードで使用しますが、マスクモードで使用すると温度が5℃程度低下します。この5℃の差で著明な口渇感などが出現し使用感に多大な影響を与えます。

逐一温度はチェックし加温加湿器と口元温度の逆転が無いか(通常口元温度が2℃ほど高い)、モードは適切であるかを確認しましょう。

結構見るミスですよ。

 

取りあえず加温加湿器内の水は枯らさないでください。

何度も言いますが加温加湿が肝です。

本当に多いミスです。

 

回路内の水滴

回路に直接冷房が当たっていたり、口元とチャンバー温度が逆転していたりすると回路内に結露が生じます。患者さん周りでポコポコ音がしていたら、回路の垂れ下がったところで水が行ったり来たりしているかもしれません。完全に回路を閉塞すると酸素供給が断たれます。

また、その水が患者側に移動すると設定流量の勢いそのままに鼻腔に吹き付けます。

ビチョビチョやないか!では済まないんです。

これをきっかけにパニックになる可能性があります。呼吸状態の悪い患者のパニックは文字通り致命的になる可能性があります。

回路内に水分を確認した際は、患者側にいかないようにゆっくりと加温加湿器内に戻してください。

 

夏場に回路に直接クーラーの風が当たるように設置していると、回路内結露が生じる可能性があります。ご注意下さい。

 

新生児・小児について

新生児・小児では胸郭の柔らかさと容量の小ささから、大人よりも治療効果が高いとされています。

 

新生児では

呼吸機能障害の初期非侵襲性サポートとして、抜管直後や早期にした場合はCPAPと比較して有効性・安全性が同等との報告があります。Yoder et al.2013

 

小児では

  • 呼吸パターンの改善
  • 装着早期より呼吸筋負荷の軽減
  • 呼吸努力の優位な低下
  • 呼吸困難におけるすばやい改善

このような効果があると報告されています。
Rubin et al . Crit Care . 2013

 

また、装着した結果として

新生児では、鼻外傷(MDRPU)の軽減が得られ

小児では、挿管率の減少、PICU入院期間の短縮が得られたと報告もあります

 

実際に、装着直後に陥没呼吸がみるみる改善するなどの症例に出会うことが多いのは小児特有と言えます。

 

では何がよかったのか?

もちろん、NHFの機能が優秀であることもありますが、カニュラの要素もあります。

  • 快適であり忍容性が高いことで持続した装着が可能であったこと
  • 装着時間が長くともMDRPUの発生頻度が低いこと
  • 授乳が可能になったりと母子接触機会(カンガルーケア)が増えること

これらのことが挙げられます

これらの要因が得られた背景には、カニュラの設計も一役が買っています

この画像が小児用

小児鼻カヌラ

引用:https://bestawards.co.nz/product/non-consumer/fisher-paykel-healthcare-infant-care/fp-optiflow-junior-2-product-design/

 

この画像が大人用

NHF大人

引用:https://www.fphcare.com/ja-jp/hospital/adult-respiratory/optiflow/

 

まず、この画像から大人のものと比べると

  • 鼻中隔が当たる部分が極力排除されている
  • 固定はベルトではなくマジックテープの仕様で取り付け調整が簡単になっている
  • チューブ部分はねじれが生じにくい構造・素材となっている
  • 回路接続部分はねじれ・よじれを簡単に解消できるコネクタ式

装着時の設定はこう決める

装着時の流量設定は迷うこともあると思います。

勤務先では新生児・小児共に2L/Kg/分の流量で導入し、状態をみて流量調整を行っています

体重ベースでの判断(Milesi et al . Crit Care . 2013

体重ベースと臨床判断の組み合わせ(Yoder et al . 2013

小児NHFカヌラサイズ

引用:https://bestawards.co.nz/product/non-consumer/fisher-paykel-healthcare-infant-care/fp-optiflow-junior-2-product-design/

 

このように流量によって使用するカニュラが違います。

小児用なだけあってキャラ分けされています。

流量もそうですが、鼻腔の50%程度にカニュラの太さがなるようなサイズ感で選ぶことも重要です。

算定

ハイフローセラピー(1日につき)

15歳未満の患者の場合  282点
15歳以上の患者の場合  192点

※動脈血酸素分圧が 60mmHg 以下又は経皮的動脈血酸素飽和度が 90%以下の急性呼吸不全の患 者に対して実施した場合に限り算定可能

※在宅酸素療法指導管理料及び在宅人工呼吸指 導管理料を算定している患者の費用は算定できない

 

在宅

保険が適応できないため実質不可能ですが、抜け穴はあります。

ヒントとしては

  1. 在宅人工呼吸器は保険適応可
  2. 在宅用NPPVも保険適応可能
  3. 鼻カヌラは薬事申請で「マスク」として通っている
  4. 保険で「在宅人工呼吸管理料+NPPV」で申請
  5. デバイスをNHFの物で使用

まぁあまり声を大にして言えませんが。

 

ってなわけで以上がNHF徹底攻略ガイドです!

長文の読破ご苦労様でした!

 

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