スポンサーリンク

『早期離床とせん妄』ABCDEバンドルとPICSを踏まえて①

早期離床シリーズ① お勉強
なしこ
なしこ

ICUとかで早く起こそうってリハビリしてるのって何でなん?

廃用予防?

える
える

まぁその要素もあるんだけど、まだまだ色々な効果があると言われているよ。

早期リハビリテーションというワードを聞いたことある人も多いと思います。

近年目覚ましく発展してきている、超急性期リハビリテーション

一時期はどれだけ重症で、どれだけ早く起こして歩かせたかのチキンレースみたいになってた時期もありましたが、それも次第に落ち着いた時代に入ってきた印象です。笑

まだまだエビデンスレベルの高い文献が数多く出ているわけではありませんが、様々な検証がなされ効果が謳われるようになってきました。

そして、2017年に集中治療における早期リハビリテーションに関するエキスパートコンセンサスが世に出ました。


集中治療における早期リハビリテーション 根拠に基づくエキスパートコンセンサス ダイジェスト [ 日本集中治療医学会 ]

この記事では、早期離床とせん妄の関係をエキスパートコンセンサスのクリニカルクエスチョンからひも解いていきたいと思います。

スポンサーリンク

CQ

早期離床とせん妄に関するCQは以下の3つがあります。

 

CQ4-9  早期離床や早期からの積極的な運動はICU-AD(ICU-acquired delirium)を改善させるのか?

CQ4-10 早期離床や早期からの積極的な運動はICU-ADを予防するのか?

CQ4-11 適正な鎮痛鎮静プロトコルは早期離床や早期からの積極的な運動の効果を促進するのか?

 

この問いにいきなり答えるとわからないことだらけになるので、ざっくり歴史と概念なんかを見ていきましょう。

 

大まかな時代の流れ

2002年 PADガイドライン  ABCDEバンドル

痛み・不隠・せん妄に対しての病態管理が主で書かれていた。より画一的に病態管理するためのバンドルが生まれる。それぞれの項目で評価指標がある。これらは死亡率の減少に寄与するといった報告がでてくる。院内死亡率から数ヶ月後、数年後の生存率・ADL・QOLの報告がでてくる。

2010年 PICS

ICU内のせん妄は長期的な運動・認知・精神機能に影響を与えることが認識されはじめ、PICSの概念が提唱される。「いかに眠らせて管理するか」から「患者と密接にコミュニケーションをとり、不安や痛みを細かく評価していく」という方向性がではじめた。

2013年 PAD改定  (ABCDEバンドルがbase)

職種間協力・早期離床など重要事項が随所に盛り込まれるが、米国と医療制度が大きく異なることから日本版PADガイドラインであるJ-PADが作成されることになる。患者の覚醒状態を適正に保ち、早期に離床していくことが生命予後・運動/認知/精神機能にも有益であるという流れが強くなる

2016年 sepsisガイドライン

PICSが独立章として盛り込まれる

現在

早期離床がPICS予防に寄与する可能性が示唆されているが、RCTなどエビデンスレベルの強い文献はまだ少ないのが現状である。

 

病態管理から始まり、それに伴って短期生命予後・中長期生命予後の報告が増えてきました。その後、長期的生命予後と共に、運動機能・認知機能・精神機能の報告も同時に増加し、PICSの概念が唱えられるようになったのです。

一方、病態管理において、light sedation(軽~い鎮静)が推奨・促進されたことによる恩恵で、早期リハビリテーションが可能になり、ICU-AD / ICU-AW・PICSに対しそれが有効である可能性が示唆されました。しかし、ICU内で治療と並行しながらリハ以外の要素を削ることは困難であり、早期離床「単独」でせん妄抑制効果があると捉えることは難しい状態です。

では、ここで登場したABCDEバンドルとPICSについてみていきましょう。

 

ABCDEバンドル

Awake:毎日の鎮静覚醒トライアル

Breathing:SBTトライアル

Coordination:AとBの協調

Choice of sedation:適切な鎮静薬の選択

Delirium monitoring and management:せん妄のモニタリング

Early mobility and exercise:早期リハビリテーション

※最近はFamilyも入ってくることがある。

※G・Hもどうのこうのいってるところもある

なんか言葉遊びすぎて、10年後くらいにはXYZくらいまでいってるんじゃないかと個人的に思ってます笑

 

Awake:毎日の鎮静覚醒トライアル

SAT(spontaneous awakening trial:覚醒トライアル)

開始可能か毎日スクリーニング

SAT開始可能→持続鎮静薬を中止

SAT成功(呼びかけに開眼し、失敗に該当する項目がない)→SBTへ

SAT不成功→鎮静薬を半量~漸減して24時間後に再評価

SAT開始不可能→同量で鎮静薬を継続し24時間後に再評価

トライアル方式や時間の設定は厳密に決定されているものではありません。
施設によって様々です。
日本集中治療医学会・日本呼吸療法医学会・日本クリティカルケア看護学会が、過去の知見をふまえ日常診療へ取り入れやすい実践的な人工呼吸器離脱プロトコールを3学会合同で作成しています。下のリンクを参考にしてみてください。
http://square.umin.ac.jp/jrcm/pdf/pubcome/pubcome006.pdf

 

Breathing:SBTトライアル

SBT(spontaneous breathing trial:自発呼吸トライアル)

SBT開始可能→SBTを2時間施行

SBT成功(失敗の基準に当てはまらない)→抜管

SBT失敗→鎮静剤を半量で再開し元の呼吸器設定に戻し24時間後に再評価

SBT開始不可能→同量で鎮静薬を継続し24時間後に再評価

SATトライアルの注意事項と同様

 

Coordination:AとBの協調

説明略

 

Choice of sedation:適切な鎮静薬の選択

鎮静剤の選択により、せん妄のリスクを減らす

 

Delirium monitoring and management:せん妄のモニタリング

RASSを2時間ごとに評価、目標のRASSスコアであるかどうか検討

CAM-ICUを評価する

せん妄が疑われれば原因検索、除去、鎮静剤の中止を試みる

 

鎮静スケール
RASS(Richmond Agitation Sedetion Scale)
鎮静下で人工呼吸管理されている鎮静度合いを評価するもの

RASS

引用:看護roo:https://images.app.goo.gl/hg5zKh1kAbK7PLJN7
せん妄評価フロー
CAM-ICU
CAM-ICU
引用:https://uploads-ssl.webflow.com/5b0849daec50243a0a1e5e0c/5bb419cbf487b4d2af99b162_CAM_ICU2014-training_Japanese_version.pdf
Early mobility and exercise:早期リハビリテーション

ex)

理学療法士と看護師が評価、施行

早期リハビリが可能か毎日スクリーニング

リハビリ開始可能→最低1日1回、3段階:端座位、立って椅子へ移動、短距離歩行

リハビリ開始不可能→24時間後に再評価

こちらも施設によって取り組みは違います。
また、早期離床加算を算定している施設には確実に早期離床に関わるプロトコルが存在しています。

 

 

他にも・・・

Follow-up referral , functional reconciliation , and family involvement)

Good handoff communication)

Hand the patient and family written information abaout possible components of PICS and PICS-F)

 

Vasilevskisは、ABCDE バンドルを解説するにあたり、

ICU-AD

ICUにおいて後天的に獲得し、潜在的で修正可能なせん妄」

と定義し、

ICU せん妄(ICU-Delirium)と区別している。

つまり、ICU せん妄のリスクファクターの中でも、薬理学的せん妄リスクファクター(ベンゾジアゼピンの使用など)や非薬理学的せん妄リスクファクター(不動化・環境因子など)のように、除去できる可能性のあるリスクファクターによって引き起こされたせん妄がICU-AD である。しかし、これらのリスクファクターも完全に除去できる対策はないので、ICU せん妄管理は、ICU-AD 対策と患者の疾患・病態管理が同時に行われる必要がある。

 

 

PICS

ICU内で発症した、せん妄の影響は入院期間中にとどまらず、退院後も患者の運動機能・認知機能・精神面・更に家族の精神状況にも影響を及ぼす。このような傾向が認識されるようになり、2010年の米国集中治療学会でPICSの概念が提唱された。

 

PICSの要因は大きく分けて4つに分類できる

 

①患者および重症度(疾患そのものによる侵襲)

②医療・ケア介入

③ICU環境要因(アラーム音・光)

④患者の精神的要因(不眠などのストレス・不安など)

 

上記を要因だからといって遂行しなければ、生命予後が悪化してしまい本末転倒となる。

そこで推奨されるのが、生命予後改善のエビデンスがほぼなく、かつPICSの要因となり得る治療・ケアを極力回避することである。

観察研究・エキスパートオピニオンなどから考えられている予防介入としては、

①に対し、適切な早期治療

②に対し、根拠の乏しい侵襲的治療の回避、低侵襲治療、人工呼吸器/ICU早期離脱、せん妄予防、リハ介入

③に対し、ICU環境整備・耳栓・ICU関連感染症予防の徹底

④に対し、患者/家族へのメンタルヘルスケア・面会時間の見直し

これらがあげられている。

 

QOLの評価

SF36・EQ-5Dの使用が多い

 

SF-36の特徴は、

①包括的尺度である

②国民標準値との比較ができる

③国際的に最も普及している健康関連QOL尺度である。

SF-36は、8つの健康概念を測定するための複数の質問項目から成り立っている。

8つの概念とは、

(1)身体機能

(2)日常役割機能(身体)

(3)体の痛み

(4)全体的健康感

(5)活力

(6)社会生活機能

(7)日常役割機能(精神)

(8)心の健康である。

 

EQ-5Dは,医療技術の経済評価において質調整生存年(Quality-Adjusted Life Year;QALY)の算出に用いるためのQOL値を提供することができる.EQ-5Dは,5項目からなる質問票であり,従来のバージョンであるEQ-5D-3Lでは各項目3つの水準で構成されていた.しかし,感度が十分とは言えないことや,回答が高得点に集まってしまう天井効果が課題とされていたため,各項目をそれぞれ5つの水準に変更したEQ-5D-5Lが開発された。

 

える
える

さ、事前知識としてはこんなもんでいいかな!

なしこ
なしこ

まって。お腹いっぱい。。。

える
える

まだ事前知識だよ( ´艸`)

ここを抑えておくと、

せん妄がなぜ悪影響なのか?

せん妄がをどう評価するのか?

介入の効果を検証方法は?

ってことがわかるから、今から解説するクリニカルクエスチョンも理解しやすくなるよ。

 

ちょっと長くなったので、次の記事で下のクリニカルクエスチョンを解説していきます。

 

CQ4-9  早期離床や早期からの積極的な運動はICU-AD(ICU-acquired delirium)を改善させるのか?

CQ4-10 早期離床や早期からの積極的な運動はICU-ADを予防するのか?

CQ4-11 適正な鎮痛鎮静プロトコルは早期離床や早期からの積極的な運動の効果を促進するのか?

もっとたくさんの人に届きますように

こちらのバナークリックで応援お願いします


友だち追加

お勉強
スポンサーリンク
el-nynyoをフォローする
スポンサーリンク
友だち追加
ハコニワ medical

コメント

タイトルとURLをコピーしました